【書籍化&コミカライズ決定】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~
今はもう王太子妃になりたいだなんて微塵も思っていないし、領地経営が私に残された道であると共に私がやりたい事なの。この思いを殿下にぶつけてしまう事は、すなわち王太子妃候補を辞退したいと言っているのと同じ…………
「……君は私の婚約者だ。こんな危険な事をやっていい立場ではない。そんな事が分からない君ではないはずだ…………」
「そう…………ですわね……………………でもこれは、私の使命だと思っております。公爵家に生まれた私の……」
「君の使命は…………っ」
そこまで言って、殿下は黙ってしまった。殿下は薄々分かっているのかもしれないわね……私が王太子妃としての務めより、領主の娘としての務めを優先している事を………………
「………………はぁ…………躾のなっていない猫には、主からの調教が必要だな」
「え?」
殿下が溜息と共に不穏な言葉を放ったと同時に私を横抱き、いわゆるお姫様抱っこというヤツをしてスタスタ歩き始めた。
「きゃ?!で、殿下?!!」
「……殿下ではない。ヴィルだ」
「………………ヴィル……何を…………」