【書籍化&コミカライズ決定】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~
あそこは貴族の娘が行くような場所ではない。世間知らずの彼女が行こうものならどんな目に合わされるか……ゼフがそばにいるはずだが胸騒ぎがする。馬を飛ばしてあっという間に入口に辿り着いた。
入口付近はやけに静かでオリビアやゼフの姿は見えない。
ひとまず落ち着こう……手綱を近くの木に括り付け、辺りを歩いた。私のような者が歩いている事に驚きを隠せない住人たちは、皆凝視しながら固まっている。中には「ひぃ!」と声をもらして物陰に隠れてしまう者もいる。
ここは世の中から虐げられている者が集まっているからな……私のような貴族風の者が歩いていると、何をされるかと恐怖するのかもしれない。
「きゃ!!」
先の方から女性の声が聞こえた…………オリビアの声だ!私は急いで駆けつけると、オリビアは男に腕で首を絞められている…………私は全身の血が引いていくのを感じた。私のオリビアに何を…………そして頭より先に体が動いた――――――
音もなく男の背後に回り、首に剣を突き立てる…………男の体は硬直し、オリビアは私がいる事に驚きを隠せず、大きな美しい目を見開いて少し振り向きながら私を見つめている。美しいな…………