【書籍化&コミカライズ決定】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~
二人とも表面上は笑顔でこの攻防をしているものだから、ロバートがすっかり怯えてしまっている。
「ここに来たのは君に会いに来たのもあるんだけど、君に頼みたい事があって来たんだ」
「……私に?何でしょう…………」
「あと二月ほどで建国祭があるのは知っているね?そこで君に着てもらいたいドレスのデザインを考えているんだ」
そう言えばそうだった、建国祭は国にとってとても大切な行事。いくら私が王太子妃候補を辞めたいと言っても貴族である以上、余程の理由がない限り出席しなければならない。二月後…………建国祭の半年後に聖女が現れる。ちょうど私の誕生日近くだったはず。
そう考えると今の私の年齢は16歳、殿下は18歳ね。
小説では建国祭の後、初秋に卒業記念パーティーがあって学園を卒業すると同時に聖女が現れ、二人はいい仲になっていくのよね…………オリビアの誕生日パーティーが開かれる頃には、もう殿下が来てくれないほどに急速に聖女と親密になっていた。
誕生日パーティーもなしでいいから、二人は王都でよろしくやってもらって、私はマナーハウスで皆に祝ってもらおう…………そんな事をぼんやり考えていると、殿下が私の膝元に進み出て跪く。