【書籍化&コミカライズ決定】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~

 「え?でん…………ヴィル……どうし」

 「……そのドレスを来て、私に建国祭をエスコートさせてほしい。そして一緒にファーストダンスを踊る権利を与えてほしいんだ」
 「…………………………」

 ファーストダンスって、婚約者なら皆当たり前に踊るものじゃなかった?殿下は嫌々踊っていたはずだけど…………ドレスは殿下から贈られたなんて書いてなかったわね。色々と事情が変わっていて戸惑ってしまうけど、殿下が私の左手を握りながら目の前で懇願してくるのでドキドキと寒気が止まらない。

 きっと元のオリビアだったら全力で喜んでいたでしょうね……今の”私”は男性不信も相まって、ドキドキと同時に寒気も襲ってくるから手を振り払いたい衝動に駆られてしまう。

 やっぱり一生誰とも結婚出来そうにないわね。うんざりしてるからいいんだけど。

 
 「え、えぇ……もちろん踊りますわ。どうしてそんな風におっしゃるのです?」

 「………………君に対して誠実ではなかった私から、ドレスを贈られるのもダンスの相手をするのも、君にとっては戸惑うだろうと思い……それに君の相手は自分だと、許しを得たかったのかもしれない」
 「……………………」
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