【書籍化&コミカライズ決定】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~
なんて返せばいいのかしら……確かに全く誠実さの欠片もなかったのにドレスまで考えてくれて、ダンスのお誘いとかどうしちゃったのって思ったのは否めない。
「…………ヴィル…………ご心配なさらずとも王太子妃候補としての務めをしっかりと果たしたいと思っておりますわ。ファーストダンスもパートナーとして不足のないよう努力いたしますし、ドレスまで感謝いたします」
できる限り笑顔でそう答えた。つい殿下って言いそうになってしまう。
すると殿下は私の手の甲に口付けをして、その手を自身の頬に持っていき「ありがとう、楽しみだ」と満面の笑みで返してきた。
…………………………殺人的ね………………顔が熱くて殿下から顔を逸らすしかなかった。こういうところって必ずエフェクトがかかるのがズルいわよね。
特に他意はなく事務的に答えたつもりだったんだけど、予想以上に喜んでいるように見えるのは気のせい?
そして気付いたらロバートの姿がない。いつの間に……なんで出ていっちゃうのよ?!
その後殿下は私の横に戻り、私の腰に手を回しながら終始ご機嫌だった。ゼフが帰ってくるまでこの状況は続き、しばらく二人でお茶をする事になったのだった。