【書籍化&コミカライズ決定】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~
「………………そうですわね、それが最善かと思いますわ。お父様へ連絡してくださって感謝いたします……ヴィルからの書状があれば、お父様も動きやすいと思いますわ。その間にここで、その二人の罪を暴いてしまいましょう」
夕食に遅れたのもお父様に連絡してくれていたからなのね……司教はお忍びで来ているのだろうし、お父様が掛け合えるのも領地での司祭の動きだけ…………人身売買はこちらで解決しなくては、真相がまた闇に葬られ……止めさせる事は困難になる。
「司教という立場には司祭以上に権力が与えられている。今まで司祭だったから公にせず、こちらに分からないように税の徴収をしていたのだろうが、司教が来れば大々的に徴収し始めるだろう。公爵はそれを許さないだろうが……」
「もしお父様に王都を離れられない理由があって…………いざこざを収める為に領地に下がらなければならない事態になると、王都の方の派閥の力関係が崩れてしまう恐れが…………まさかそこが狙い?」
お父様は陛下の腹心だし、最大の王族派の人間が王都から領地に下がったとなれば、貴族派が勢いを増していってしまう。
そっか、ただの恋愛小説かと思って読んでいたけど、その裏ではこうした権力争いが起きていたのね…………私腹を肥やす貴族派が力を増していけば貧富の差は今以上に開き、民は飢え、国力が下がっていく。内側から弱ってしまった国は、他国に侵略されやすい国になってしまうわ。