【書籍化&コミカライズ決定】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~
「…………そこを狙われている感じもするな。力関係が崩れると、政治の腐敗を招く。今は微妙な力関係で国が保たれているんだ。その為に私と君の……結婚…………はとても大事な意味を持つのだが……」
結婚という言葉に照れている殿下がいるようだけど、全力でスルーしましょう……確かにそう言われればそうなのだけど、その後聖女が召喚されて他国に侵略されずに済むのよね。でも殿下は聖女がやって来るだなんて知らないから、自身の手で最善を尽くしたいと思うのも無理はないかもしれない。
それにお父様の力が弱まれば公爵家自体も危なくなるものね。殿下が言うように何かが公爵家の力を弱めようと動いているような、不気味な力を感じるわ……小説では私が色々やらかして処刑され、お家取り潰しの結末だった。まさか小説通りに公爵家が潰れるように補正されようとしているの?
さすがに考え過ぎ?…………ともかく自分に出来る事をやらなければ。
そしてオルビスやテレサたち、子供たちが住みやすい領地にしてあげたい。
「……私の結婚はともかく、そのような輩に我が領地を好きにさせるのはいけませんわね」
私が笑顔でそう言うと、殿下がとても残念そうな顔をしていた。私は見なかったフリをして殿下に笑顔を向け続けたのだった。