【書籍化&コミカライズ決定】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~
明日に向けて
「……今日は色々とすまなかった。ソフィアの事も……」
「ヴィルが謝る事ではありませんわ。私の覚悟が足りなかったのです。あの子が可愛くて笑っていてくれればいいと思っていました。でもそれではダメなのだと気付かせてくれて、むしろ感謝していますわ」
「…………………………」
ソフィアに役目を与えてしまった事を気にしていたのね。それについてはあの子がやりたいと言った事だから、殿下が気にする事ではないんだけど……
殿下はおもむろに私の前髪に手を伸ばしてきたので、何事かと殿下の方を見ると子犬のような表情でこちらを見ている。心臓が痛くなるから、そういう表情はやめてほしいのだけど……
「そろそろ、もっと気安い話し方をしてほしいんだけど……まだダメかい?」
「え………………ダ、ダメ……では、ありません…………」
私の意気地なし。殿下とは一定の距離を保たなければならないのに、すっかり彼のペースに巻き込まれてしまっている。
普段は俺様風なのにこんな時は子犬のような表情をして言ってくるとは……どこでこの処世術を学んでくるの。