【書籍化&コミカライズ決定】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~

 「あ、あの…………」

 「また、こちらから連絡するよ。……今度は領地の方に。」


 少し振り返りながら、そう言って去って行ってしまった。なんだったの…………明らかに様子がおかしい殿下が気になったけど、領地に連絡するという事は了承してくれた、という事よね?
 良かった…………とホッと胸をなでおろした私は、次にお父様を説得しなければ、と考えを巡らせていた。



 ∞∞∞∞



 その日の夜、お父様が帰ってきたという知らせをマリーから受け取った私は、お父様がいる執務室へと向かった。
 本当は療養しなければならないほど体力が落ちているわけでもないし、このくらいの距離なら自分の足で歩いていけるのだけど……きっとこの話を聞いたら驚くだろうな。あんなに娘思いの父親を困らせる事は言いたくない。でも自分のやりたい事の為に戦わなくてはならない時もある、と自分を奮い立たせて扉をノックした。


 ――――コンコン――――

 
 「入りなさい」
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