【書籍化&コミカライズ決定】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~
「やはり行先はアストリッド港だったか……そうなると……」
「売られている先って、やっぱり他国なのね。そうだとしてもどの国に売られているのかしら……」
「あそこの港は大きいから、多方面に亘って行き来出来る。今まで取引していた場所を特定するのは困難だな……でも今回に限っては乗せられる船は特定出来る。それだけでも分かれば大きな収穫だ。ついでにその船の船員も捕らえる事が出来れば、なお良いんだけどね……」
確かに、それが出来ればかなりの情報を入手出来るかもしれない。
辺りはすっかり日が沈み、夜になっていた。納税証明書を領民から集めた時点で夕方に近かったし、そりゃもう夜になるわよね。
「マナーハウスの方は大丈夫かしら……」
「そっちの方は大丈夫だろう。例え何かあったとしても公爵に私から伝えた時点で、ヤコブ司祭はこの領地にはいられなくなるだろうから」
それもそうね…………ひとまず荷馬車を運び出す時間が稼げたし、成功したのよね。荷馬車はようやくアストリッド港の入口に着き、通行証を見せて入っていく――