【書籍化&コミカライズ決定】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~
出発
その日は素晴らしい快晴で、雲1つない空が私のこれからを祝ってくれているかのような気がした。
私が異世界に転生してから二週間あまり経った。
お父様の執務室を訪ねた日、私はお父様に2つお願いをしたのだけど、その1つが領地で過ごしたいという事。これについてはすぐに了承を得る事が出来たのよね。殿下から聞いていたのもあるのだろうけど、何より私の気持ちを優先しようとしてくれる優しさが伝わってきて本当に嬉しくて…………生まれ変わって、こんなに素晴らしい父親に巡り合えるというのもそうないと思う。
そしてもう1つは殿下との婚約の話。この話については保留となった……私自身も今すぐどうこう出来る問題とは思っていなかったし、お父様には私の気持ちを知っていてほしくて、ありのままの気持ちを伝えてみた。
殿下は恐らく私の事が嫌いだという事、私自身も結婚するより領地経営に興味が出てきている事、広い世界を見てみたいという事…………お父様は目を細めて私の話に聞き入ってくれていたけれど……実際はどう思ったのかしら。
私の話を一通り聞いて、よく分かった、と言った後「婚約の話は私に預けてほしい」と言われてしまったので、お父様を信頼して任せるしかなくなったのよね。
まぁどの道、聖女が現れたらそっちの方にいくでしょうから、それまで極力関わらないでいられたらいいんだけど。