【書籍化&コミカライズ決定】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~
そんなやり取りを終えて、私の体力が領地までの道のりに耐えられるくらい回復してきたところで、領地で過ごす為の持ち物や衣服などの私物を用意する事になった。それが結構時間がかかってしまって……貴族の持ち物ってこんなに多いの?!
領地では身軽に動くつもりだったから、平民のような簡易服しか要らないと思っていたのに。マリーにそんな事をブツブツ言ったら「そんな訳にはいきません!」って怒られてしまったわ。今は季節が春、三月くらいかしら……庭の花が蕾を付け始め、これから新しい事が始まる予感にわくわくするわ。
当然の事ながら、私が領地に行くというのは小説の中にはない出来事なので、あの小説通りには進んでいないという事になる。
そうなってほしいし、そうでなければ困るわ…………お父様やマリーが悲惨な目に合う未来は絶対見たくないし、私だってせっかく転生したのにまた死にたくないもの。
「これで持ち物は全部揃ったかしら?」
どっさりと積み上げられた自分の持ち物達を見渡しながら、一息ついた。マリーはまだ確認の作業中ね。
「お嬢様が快適に過ごせるように手抜きは許されませんからね!」
マリーは張り切っているわね……本当は一人で行こうと思っていたのだけど、話を聞きつけたマリーが鼻息を荒くして「私も付いていくに決まっているじゃありませんか!まさか置いていこうと思っていたのでは……」と泣きそうな顔をするから、置いていく訳にはいかなくなってしまった…………マリーとお父様には本当に弱い私。
でも領地に行ったらやりたい事が沢山あるから、正直マリーが来てくれるのは非常に助かるし心強い。