【書籍化&コミカライズ決定】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~

 そう言って馬車の窓を開けて少し身を乗り出した時――――


 ――――ガタンッ――――


 何かにぶつかったのか、馬車が大きく揺れた。私はグラリと体が大きく揺れて後ろに倒れそうになった時(まずい……)と思った瞬間、横に座っていた人物が私の両肩をガシッと受け止めてくれた――

 「…………大丈夫ですか?」

 …………馬車に乗ってから初めて声を聞いた気がするわ。

 「ありがとう」と顔を見てお礼を述べながら座り直した。
 
 この隣に座っている人物は、出発する前にお父様から「彼を護衛に連れて行ってくれ」と頼まれたので、一緒の馬車に乗る事になった。「ゼフ」という名前で少し暗めのブルージュの髪色に短い髪を上に立て、王宮の騎士とは違い目立たないように少し着飾った農民のような服装で静かに座っている。私付きの護衛らしく、なるべく近くに置いといてくれっていうお父様のお願いだから一緒の馬車に乗ったのだけど……とにかく喋らない。
 
 まぁ護衛だし仕方ないんだけどね。何を話しかけても「…………」なので、こちらもいないものとして考えるようにしていたのに……
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