【書籍化&コミカライズ決定】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~

 
 「お嬢様!」

 すぐにその女性が駆けつけて支えてくれた。

 「申し訳ないんだけど……ドレッサーのところまで支えてくれる?」

 「承知いたしました。でも、無理はなさらないで下さいね……高熱で6日ほど寝込まれていたのですから……」
 「6日…………」
 
 その言葉にも驚きを隠せなかったけど、とにかく確認しなければ。でも、流石に脚に力が入らない……何とか力を借りて、重い体を引きずりながらドレッサーまで辿り着く。小さな椅子に座らせてもらい、自分の顔を鏡に映すと、世にも美しいお姫様がそこにいた。

 この美少女は、どちら様?

 ツヤツヤのラベンダーピンクの髪が腰の辺りまで伸び、陶器のような白い肌にほんのりピンクがかった艶の良い唇は形が整っている。世の男性が見たら誰もがその唇に触れたくなるに違いない。
 
 「これが、私?」


 家事のし過ぎで荒れ放題だった手は、指先まで綺麗に手入れされているし、何もかもが自分のものとは思えなかった。そんな私の様子を見ていた女性が誇らしげに言う。

 「はい!お嬢様は世界一美しいのです。寝込んでいましたので少しお痩せになられましたが……でも美しさは全く変わりません!」

 
 ……なんて可愛い事を言ってくれるのかしら、抱きしめてあげたい。ところどころで30代だった自分が出てきて、お姉さんのような気持ちになってしまうのだった。



 
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