【書籍化&コミカライズ決定】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~
私は頭に雷が落ちたかのような衝撃を受ける。小説の中のヴィルは明らかに私に対する態度がおかしかった……そんな事を王妃殿下に言われていたの?――――学園中で噂が広まり、私と一緒にお茶会をしていた母親からもそんな事を言われてしまったら、悪い印象が植え付けられてしまうじゃない――
「この話を君にする事は永遠にないと思っていた。私自身がこの話をしたくなかったからね。母上が声をかけてくれる事に喜んでいる自分を認めたくなかったのもある……こんな話を婚約者にしたい男などいないだろう」
「そう、ね……それに王妃殿下は私とお茶をしている時は、私の事を褒めてくれていたのよ。そんな言われ方をしていたなんてびっくりだわ…………」
なんだか誰を信じればいいのか分からなくなってしまうわね――
「だが、君の領地に行って君との時間を過ごしてみて、今まで自分が抱いていたものが完全に間違っていた事に気付けた。公爵領に行ったのは本当に良かったと思っているよ……今は母上に何を言われても君がそんな人間ではないと、はっきり言う事が出来るからね」
ヴィルはそう言って微笑み、私の前髪を弄ってくる。私に対しての印象が改善されて良かった…………って何喜んでいるの、私ってば。嫌われた方がむしろ好都合…………まぁ友達として悪い人ではないから、無理に傷つけ合う必要もないわよね――