【書籍化&コミカライズ決定】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~
ヴィルはソファにある私の手を握りながら、真っすぐな眼差しでそう言ってくれた。
それは私自身が自分に正直でありたいと思っているから、そう見えるんだと思うけど、とても嬉しい言葉でもあった。誰かにとって信頼出来る人間であるという事は、こんなに嬉しいものなのね――
「……もちろん私は変わらないわ。きっとこれからもずっと、こんな感じだと思う……あんまり自分に正直に生きていると、お父様や周りの人達には苦労ばかりかけてしまうんじゃないかと思う時もあるけど……自分の人生だから悔いなく生きたいの」
「悔いなく…………そうか、そうだな――」
ヴィルは何かを考えて、納得したような顔をした。その顔は苦悩している顔ではなく、スッキリしたような、覚悟を決めたような……かなりいい表情をしていたと思う。
私もせっかく転生出来たのだから、怯えて暮らすのではなく、人生楽しまなくてはと前向きな気持ちになったのだった。