【書籍化&コミカライズ決定】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~
「…………でも私はあなた方を売りには出さないし、下賤な者とも思ってはいない。権力や立場というのは、その為にあるのではないの。自分にとって気に入らない事が起きたからと言って、身分がある者が何でも意のままにしていては国は乱れるばかり。その為に法があるのです。それに……」
男の前まで進み出て、その者の手を両手で握る。男は一瞬固まったけど、お構いなしに一番言いたかった事を伝えた。
「私にとっても皆等しく、この国の大事な民なのですよ。あなたもこんな事をして、自分の命を粗末に扱ってはいけません。他の貴族にこんな事をしていたらどうなっていたか…………もうしないと約束してくれますか?」
「……あ、いや…………あの…………」
強く男の手を握ってお願いすると、男がとても動揺しているようだったので、一人一人の手を取って周りの民衆にも語りかける。
「皆さんも自分の命を大事にしてください。何かあれば、私がお話を聞きますので……」