【書籍化&コミカライズ決定】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~
公爵邸に着いてみると、私の心配は全くの杞憂だった事が分かる…………エントランスに入ると、二階からオリビアが下りてきて元気そうに私に挨拶してくれた。
「ヴィル!お久しぶりですわね。こんな夜に何か急用でもありましたの?お父様に用でも?」
彼女の声はとても張りがあって元気そのものといった感じで、耳に心地よいその声は私の心配を一瞬で吹き飛ばしてくれた。
「やあ、オリビア。遅い時間に来てすまない。公爵ではなく、君に会いにきたんだ……元気そうで何よりだよ」
「私に?」
オリビアは自分に何の用があるのだろう、とキョトンとしている。その顔が可愛すぎて、とても動揺している自分がいた。
本来なら特に用がなくても会いに来たいし、時間が許すならこのまま泊まっていきたいくらいなのだが…………公爵もいるし、それは無理だろうなと自重する。