【書籍化&コミカライズ決定】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~
階段から下りてくる所作も完璧で美しいし、私は見惚れながらも何とか彼女の手を取り、挨拶をした。
「君が母上のお茶会に出席したというのを今日聞いたんだ。色々と忙しくしていた私の事を考えて、ニコライが言わなかったらしくて……何事もなかったか?母上が何か…………」
「大丈夫ですわ、心配症ね。それよりもここで立ち話も体が冷えてしまうし、応接間に移動しましょう」
私の心配を心配症だと一蹴して応接間に案内してくれる。ここまであっさり一蹴されると、いっそ清々しいな。彼女のこういうところに私の暗くなりそうな心は度々救われたりするのだった。
応接間に移動してからも母上の話が出たが、私の心配をよそに堂々と亘り合ってくれたみたいで、内心感動すらしていた。熱で寝込む前の彼女ならここまで出来ただろうか……あの日から何かが彼女の中で変化したのではないかと、私は考えている。
そして私もそんな彼女の姿を見る度に自分も変わらなくては、と思わせてくれる。