【書籍化&コミカライズ決定】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~
ある日、私は通りすがりで侍女が話している事が聞こえてしまう。
「陛下もお可哀想ですわ…………あんなに仲の良いお方がおられたのにあのような下品な国の王女と結婚だなんて……」
「本当に。あのお方と陛下はお似合いでしたわよね……今はもうクラレンス公爵と婚約されてしまいましたけど。幼馴染でしたのに……」
………………そうか、何かおかしいと思ってはいたが、良い仲の女性がいたのか。
私は父上にいいように丸め込まれたという事か。自分を望んでいると思わせておけば、尻尾を振って嫁ぐと…………実際その通りになったのだから、ぐうの音も出ないな。
あんなに清廉で清らかに見えた国王アレクシオスも国の事になると冷静に判断し、望んでもいない女と自ら結ばれようとするのか。
「……ふ……ふふ…………はははっ……あっはははは……!」
一番愚かだったのは私自身だったわけだ。