【書籍化&コミカライズ決定】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~
 
 
 「もちろん手当して、領地に連れて行くつもりよ」

 
 私がにっこり笑ってそう言うと、私の言葉にマリーは衝撃を隠せないでいた。私は本気よ。その覚悟を感じてくれたのか、その場は一旦引いてペコリと頭を下げてくれた。

 我が儘言ってごめんね…………ゼフは何を言うわけでもなく女の子を抱きかかえてくれて、私たち三人は今日の宿に入っていった。



 ∞∞∞∞



 「見たところ、気を失ってはいますが、怪我は腕を骨折しているだけで済んでいますね。すぐに意識も戻るでしょう」

 この村に駐在している医師に診てもらったところ、どうやら内臓などの損傷はないようでホッと胸をなでおろす。男の蹴りは女の子の腕に直撃し、吹っ飛んだ衝撃で気を失ったという感じだった。
 診てくれた医師は女の子の腕に添え木をして布を巻き、固定してくれた。ギブスはない時代だものね。謝礼に銀貨二枚を渡すと頭を下げ、医師は去って行った――――
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