【書籍化&コミカライズ決定】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~


 ジョセフィーヌがそんな事を言うから、私がその時に申し込んで、私たちは後に婚約をする事になる。

 
 
 つまり陛下は、自身に負の感情をぶつけてくる人が好きなのだ。


 虫も殺せないような清らかな見た目なのに……正直ジョセフィーヌからこの話を聞いた時、未来の国王陛下という身分がなくとも、こんなに清らかに見える人物に負の感情を堂々とぶつけてくる人などいるのだろうか、と思っていた。

 しかし王妃殿下だけは別だったようで、堂々と陛下に嫌味を言うし、怒りもするし、嫌悪の目を向ける。


 いつだったか、陛下がまだ王太子時代にドルレアン国の国賓として呼ばれて帰ってきた際「私の運命の人を見つけた」と嬉しそうに言っていた。まさか本当に正妃に迎えるとは思っていなかったのだけど…………陛下にとっては彼女が運命の人だったのだろう。


 正妃にしてからも順調な夫婦生活とは言えない状況にも関わらず、こういう時は本当に楽しそうな悪い顔をする。


 王太子時代に皆がご機嫌を伺いながら接するから、感情をぶつけてくる人が珍しいんだろうな。理解はしても共感はし難い。きっとジョセフィーヌも同じ気持ちだっただろう。
< 353 / 512 >

この作品をシェア

pagetop