【書籍化&コミカライズ決定】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~
変化していくもの
「陛下も思い切ったのね。ここまで出来たのは、やっぱり王妃殿下が教会側ではないと分かったからなの?」
「…………それが大きいだろうな。私ですら教会と通じていると思っていた。昨日議会に来ていなかった事も貴族派から見たら、教会と通じている母上を締め出したように見ている。父上の本気を感じさせるには十分だったな」
帰りの馬車の中で隣同士で座りながら、今日伯爵邸で聞いた内容をヴィルと話していた。王妃殿下を有無を言わさず出禁にしてしまうとは――――
「陛下って…………けっこう怖いのね。とても優しそうで、清らかなイメージなのだけど」
正直今の私は陛下に会った事はないし、小説の中の文字でしか分からない。そこには洗練された美しい清らかな男性としか書かれていなかったので、そう言ってみた。
「まぁいつもは本当に優しいんだ。怒りをぶつけてくる事はないし、穏やかで虫も殺せないような雰囲気を出している。でも時々どす黒いオーラを出す時があって……それが私でも怖い時があるな。たいてい母上に関する事なんだが、今回はどうだか…………」
「王妃殿下と陛下って実は仲が良いとかはないの?」
「……………………それはない」
ヴィルは少し考えた後、きっぱりと言い切った。私は何となく陛下が王妃殿下に執着しているように感じるのだけど……本当にどうでもいいなら無関心になればいいのに、いちいち王妃殿下の事で反応するなんて……気のせいかしら。
ここの王家の面々は執着気質なのかもしれない、なんて思ったり。本人には言えないけど。