【書籍化&コミカライズ決定】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~
「とにかくオリビアは、あまり単独行動は取らないでくれ。民の方は落ち着いてくるだろうけど、教会や貴族の動きがどうなるか予測出来ないから。私がずっとそばにいてやれればいいのだが…………」
ブツブツ言いながら色々と心配してくれている様子にお父様と重なる。執着気質だけど基本的に優しいのよね。
「ありがとう。ヴィルも気を付けるのよ、王太子なんだし」
「私は大丈夫だ。鍛えているし、常に周りに人がいる状態だからむしろ単独行動が難しい」
「それがまた怖いんじゃない。貴族派が王妃殿下が動けないと知って、ヴィルを取り込もうとしたらどうするのよ」
「………………それは考えた事はなかったな。私は父上と繋がっているし、そんな貴族がいるとは思えないが……ふむ。もしそんな貴族がいたら、少し面白いかもしれない」
また悪い顔をしている…………何か企んでいそうね。その貴族の誘いにのったフリとかをし始めるのでは、と思ってしまう。この人ならやりかねない……流石にそれは危ないわ。
「ちょ、ちょっと、何を企んでいるのか分からないけど、危ない事はダメだから――――」
そこまで言い終わらない内に突然腕を引かれて、ヴィルの腕の中にすっぽりと収まる形になる。私は何が起こったのか分からず、腕の中で固まってしまった。