【書籍化&コミカライズ決定】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~
「オリビアは優しいな。そして温かい…………君と話していると心が温かくなる」
「……………………わ、私は何も……」
「いいんだ、そのままで。そのままでいてくれ……」
「…………………………」
ヴィルが私の髪に顔を埋めながら腕の力を強める。ぎゅうっと存在を確かめるみたいに抱きしめるので、逃れる事は出来なくなってしまった。
私の心臓の音と同じくらい大きい彼の心臓の音が聞こえてくる。
これはマズイ、今顔を見られたら恥ずか死ぬってやつだわ…………腕の力が弱まって、そっと体を離すと、私の額にキスをしてきた。
おでこに全ての熱が集まったかのように熱い。
ヴィルはずっと顔を上げられずにいる私に対して、すくい上げた私の髪にキスをしたり弄ったり……お構いなしにしている。領地の頃ならそんな事をされると寒気を感じてゾワゾワしていたのに、なぜだか今は感じなくなっていた――――