【書籍化&コミカライズ決定】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~
先は長いわね…………私が化粧まで終わったところで日本時間だと16時くらいを回っていたと思う。そのくらいの時間にヴィルが迎えに来てくれたと知らせが入る。
応接間で待っていてもらって、一時間くらい経ってようやく準備が整った。
ドレスは本当に私にフィットしていて、どこで採寸を測ったのかしらって思うくらい……素晴らしい着心地だった。
裾が長いので少し歩きにくくはあるけど、首に着けているジュエリーも全て用意してくれて、これは感謝を述べなくてはいけないわね。
『お嬢様、行ってらっしゃいませ』
私室で侍女たちに見送られながら階段まで歩いていくと、下のエントランスホールにはヴィルが待っていてくれた。
いつものヴィルも王子様らしい服装なのだけど、今日は正装をしている事もあって、一段と王族って感じがする。髪の毛もしっかりとまとめられていて、いつもは無造作に下ろしている前髪も全部アップにされていた。
襟付きのフロックコートに首に巻いたクラヴァットには綺麗なレースが施されている。袖のカフには金糸や銀糸などで織り柄が施されていて、袖の部分だけ薄いピンクラベンダー色だった…………これは私の髪色を入れた、という事なのかしら。何だか気恥ずかしいような……
「ごめんなさい、随分待たせてしまって」