【書籍化&コミカライズ決定】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~
私の姿が見えると目を見開いた後、階段の中段まで駆け寄ってくれて、下から手を取ってくれる。王子様の所作は完璧なのね。
「待ち時間も楽しんでいたから、気にする事はないよ。とても綺麗だ…………女神が降臨したかと思ったよ」
「あなたの正装姿もとても素敵ね」
「嬉しいよ。君をエスコートするのに相応しい装いでなければと思ってね。こんな素敵な女性を私がエスコートしても?」
そう言って私の手の甲に口づけながらおどける。上目遣いにウィンクする姿にふき出してしまう。
「ふふっ何を今さら……あなたがエスコートしてくれなかったら出席出来ないわ。よろしくお願いいたします」
「光栄だ。さぁ、行こう」
我が家を出ると彼が乗ってきたであろう馬車が停まっていた。
先日イザベルの家に行く時に乗ってきた馬車に似てはいたけど、今日の馬車の方がより一層煌びやかでグレードアップしている。昼間だったら乗るのはご遠慮していたかもしれない……
「今日はこの馬車に乗ってくれるかい?」
「…………そうね、今日は乗って行きましょう」
私の言葉にふき出したヴィルにエスコートされて、馬車に乗り込む。