【書籍化&コミカライズ決定】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~
贈り物と挨拶まわり
馬車の中では、隣同士で座る事がすっかり定着している私たちだった。
「わざわざ迎えに来てもらっちゃって、申し訳ないわね。朝からセレモニーに出席して、疲れたんじゃない?」
「セレモニーに出席するのは務めだから問題ないよ。迎えに来るのも私が来たかったからいいんだ。むしろ楽しみで仕方なかった。私の贈ったドレス姿のオリビアを早く見たくて……よく似合っている」
「あ、ありがとう。そうだ、これを渡そうと思って……」
熱のこもった視線を送られて、急に気恥ずかしくなってしまい、焦って話題を変えてみる。腰にボルサという巾着を着けていたのだけど、そこに市場で購入した小さなユニコーンのガラス細工の置物を忍ばせていたので、ヴィルに渡した。
「ドレスのお礼。こんなに素敵なドレスを用意してくれるなんて、お礼をしなければと思ったの。イザベルと市場を歩いていたらこれを見つけてすっかり気に入ってしまって、あなたにも購入したのよ」
「私にも?」
「あんまり可愛いから自分用にも買ってしまったの。おそろいになるんだけど……嫌だった?」
「………………いや、嬉し過ぎるくらいだし、すごく感激して言葉にならなかっただけだよ。執務室の机に飾って、毎日眺めて今日を思い出そう」
こういうのって女子に贈る物って感じがするのだけど、受け取った本人はユニコーンをうっとりした表情で眺めている。どうやら喜んでもらえたようね、良かった。