【書籍化&コミカライズ決定】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~
サラッとかわしているわ……地位も見た目も完璧なのに今もお母様を一途に想い続けて再婚の話が全くないのだから、お父様って本当に凄い。
ようやくパーティーホールにたどり着くと、突然ホールにいる人達の視線が私たちの方に一斉に集まる。
クラレンス公爵家とアングレア伯爵家が一緒に入ってきたから?物凄い見られているわ…………そしてそこへホールの二階席に陛下と王妃殿下が入ってきた。
あのお方が国王陛下………………漆黒の髪はヴィルよりながくてサラサラね。垂れ目で朗らかそうな、本当に虫も殺せなさそうな方だわ。虫が近寄ってきたら泣いてしまいそうなくらい――――
それにしてもヴィルは、髪の毛とか瞳の色は陛下だけど、どちらかと言えば王妃殿下の方に似ている感じがするのだけど。本人に言ったら嫌がりそうだから、言わないでおこう。
「皆の者、よく集まってくれた。国が独立した記念すべき日だ、堅苦しい挨拶は抜きにして今宵は存分に楽しんでほしい」
陛下が皆に声をかけて右手をあげると、すぐに音楽が流れだす。陛下の声に耳を傾ける為に止まっていた人々が動きだし、ホール内はまた音楽と人々の話し声で溢れ始めたのだった。