【書籍化&コミカライズ決定】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~
「お初にお目にかかります、クラレンス公爵家のオリビア・クラレンスと申します」
挨拶の時は普通の事だから何とも思わなかったのだけど、私が挨拶をした後もレジェク殿下がなかなか手を離してくれない。
「このような素敵な女性を婚約者に出来るなんて、ヴィルヘルム殿下が本当に羨ましい限りです。私もハミルトン王国の王太子として生まれていれば……あなたの隣に立てていたのでしょうか」
ひぇ……蛇のような目で見てくる。もしあなたが王太子だったら絶対に婚約しないと言えるわ……お父様もさせないでしょう。
そんな事は本人には言えないし、何よりこの手を早く離してほしい。寒気が止まらない…………引き抜く事も出来ないし、どうしたものかと思っていたら、ヴィルがさりげなく手を引き抜いてくれた。
「お気持ちはとても分かります。でも彼女の隣は私だけの特権なので、そろそろ離してもらっても?」
「……………………これはこれは、王太子殿下は随分ご執心のようだ。失礼致しました、レディに対する礼儀に反していましたね」
「失礼する」
ヴィルがそう言ったので私もレジェク殿下に頭を下げた後、ヴィルの腕に手を置いてその場を後にした。レジェク殿下は私たちの後ろ姿をジッと見ている。