【書籍&コミカライズ作品】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~【第三部更新中】
「王太子殿下の婚約者ともあろうお方が、一曲しか踊らないなんて信じられない!」
「きっと体が弱くて足が動かないのよ」
「何で戻ってきたのかしら。あのまま領地にこもっていれば良かったのに」
「王太子殿下もお可哀想…………ただでさえお仕事がお忙しいのに振り回されて……王太子妃候補としての自覚がないのかもしれないわね」
口々に悪口を聞こえよがしに言っているのが耳に入る。レジーナ嬢だけが沈黙しているようだけど、こういうのは本当にバカくさい。こんなの気にしないで通り過ぎようとした時――――
「お父上のクラレンス公爵閣下が必死に取り付けた婚約だったから、殿下も断れなかったのよね。本当に父親共々卑しいったら……」
……………………今のはお父様の悪口なの?お父様の悪口は看過出来ないわ。
私は扇を広げて、令嬢達に向かっていった。
「あら、皆さまご機嫌よう。随分楽しそうですわね、お父様が何ですって?詳しくお聞かせくださいな」
「………………何よ、公爵の話が出た途端顔色が変わって、親離れ出来ないのかしら」
ブランカ嬢が嫌味な笑みを浮かべながら令嬢達とクスクス笑っている。本当に幼稚ね……