【書籍化&コミカライズ決定】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~


 「そんな事をあなたに伝える必要はないわね。婚約者の地位がそれ程までにほしければ、殿下に私からお願いしてあげましょうか?それとも今、直接お願いしてみたらどうかしら。ほら、今来ますわよ。私の分の飲み物を持って来ながら……」


 「……………………っバカにして……!」


 ブランカ嬢は扇を閉じて握りしめ、戦慄いたかと思えば、握りしめた扇で私に襲い掛かろうとしてきた。


 「あなたさえいなければ……っ!」


 私はイザベルのところで鍛えていた事もあって、彼女の動きに慌てる事もなく直前でかわそうと冷静に考えていたのだけど、そこへヴィルが現れて私の前にスッと躍り出ると、ブランカ嬢の腕を片手で押さえたのだった。


 「で、殿下…………」

 「………………今日は祝いの席だ、このような事はご法度だぞ、ブランカ。弁えるんだ」

 「し、しかしオリビア様が……!」

 「私の言葉が聞こえなかったのか?弁えろと言ったのだぞ」


 ヴィルがあまり見せないような絶対零度の空気を醸し出している。恐怖でブランカ嬢は固まっている……これでは彼女も引くしかないわね。

 今日はお祝いだし、殿下の言う通り争いごとは避けるべきだった。
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