【書籍化&コミカライズ決定】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~

レジェク殿下と思いがけない襲撃


 ゆっくりと星空を眺めていたのだけど、なかなかヴィルが来ない。

 何かあったのかしら?そう思って中庭のベンチに座りながらホールの入口の方をジッと見ていると、私に向かってレジェク殿下が歩いて来るのが見える。


 あの人とは今は関わりたくないわ……咄嗟に目を逸らしたけれど、相手にはすぐに私だとバレて声をかけられてしまった。


 「おや、こんなところにお一人ですか、オリビア嬢。あなたの王子様はどこへ行ったのやら……」


 嫌な言い方。私の王子さまって…………否定しても面倒くさいけど、そのまま会話を続けても私の王子様って惚気てるみたいだし困った言い方ね。


 「あなたに教える必要がありますか?ついでに私がここで寛いでいる理由も言う必要はないですわね」


 扇を広げてニッコリ笑ってそう伝えると、歪んだ笑い方をしてきたので、少し身の危険を感じてしまう。さすがドルレアン国の王族と言うべきかしら……


 「そのような余裕をどこまで持っていられるか…………試してみるのも悪くないかもしれません」


 無言でどんどん近づいてくる…………どうするべき?立ち上がってもこの衣装では逃げ切れるとも思えない。大きな声を上げても不敬になるわ…………

 色々考えている内にあっという間に私との距離を詰めたレジェク殿下は、私を真上から見下ろし、私の扇を払い退けてそのまま手首を摑まれた。
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