【書籍化&コミカライズ決定】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~
「妃殿下!あなた様は大司教様のお味方だったはず!どうか教会の為にお力をお貸しくださいぃ!」
ヴェットーリ司教はまだ王妃殿下が教会の味方だと思っているのね。当の本人は冷たい目で見降ろしている。
「………………私がいつ教会の味方と宣言した?思い込むのは勝手だが、私の力をどう使うかは私が決める。お前たちは自分のした事の罪をしっかり償え」
「……そ、んな…………大司教様が悲しむと思わないのですか………………」
「フェオドラードは私がそういう人間だと、よく分かっているだろう……心配する事はない。2人を連れて行くのだ」
王妃殿下が扇をパチンッと閉じたのを合図に、2人は衛兵に連れて行かれた。やっぱり彼女は教会に心酔していたわけではなかったのね。
「あ、あの……レジェク殿下、ありがとうございます」
私を背にするように襲撃者から守ってくれたレジェク殿下にひとまずお礼を伝える。まさかあんな風にもみ合っていた相手が、教会の者から守ってくれているとは思わなかった。
「ふん…………女を痛めつけて守られているだけというのは、さすがに私の矜持が許さなかっただけです」
見た目ほど悪い人ではないのかな?確かに手首はズキズキと痛い……赤いわね。