【書籍化&コミカライズ決定】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~
「オリビア!」
ヴィルが駆け寄って私を立たせてくれる。そしてレジェク殿下から隠すように背中に追いやられてしまった。
「レジェク殿下、オリビアを守ってくださり感謝致します」
「…………どこかの誰かが遅いので私が動いたまでですよ。どこかで寝ていたのですか?」
「そんなわけではない、という事だけ伝えておきます」
な、なんだか仁義なき戦いが起きているような…………「まぁまぁ」とヴィルを宥めてみた。
「オ、オリビア、この手はどうしたんだ?!」
「あぁこれは…………」
しまった、ヴィルに見られてしまった…………そこにレジェク殿下がやってきて、私の赤くなった腕を取り、そこにキスをしていく。
「これは、私の印ですよ」
「レジェク!」
ヴィルが相当怒って追いかけていきそうな勢いだったのを全く気にする素振りもなく、レジェク殿下は手を振って颯爽と去っていってしまった。
私は怒り心頭のヴィルを止めるのに大変で、次第に自分が来るのが遅くなった事を悔やんでしょんぼりと落ち込み始めるので、宥めたり慰めたりと変に疲れたのだった。
そこへお父様もやってきてひとしきり私の心配をした後、現場の実況見分やらが始まり、せっかくのパーティーがもはやパーティーではなくなってしまった感じがする。
現場にいた私も色々と聞かれ、さすがに疲れてしまったので、その日はそそくさと我が家に帰る事にしたのだった。