【書籍化&コミカライズ決定】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~
トホホという声が聞こえてきそうな感じで肩を落とすマリア。
「さっき領地にも行くって言っていたけど、領地に行って何をしてきたの?」
領地と言えば貴族の領地よね。聖女が降臨してから自分の領地に来てもらった諸侯がいるとは知らなかった。お父様やヴィルは知っているのかしら……
「農作物が育つように祈りを捧げてきたんだよ。めきめき成長して凄く感謝された~教会は嫌だけど、こういう使い方は好きかな!そこの領地の貴族の屋敷にも招待されたから、お礼に屋敷中に祝福を与えてあげたんだ。すっごく喜んでもらえて……」
マリアはその時の事を嬉しそうに語っていた。
自分の意思で来た世界じゃないけど、自分の力が役に立つって嬉しい事よね。その事が彼女がここで生きていく為の理由になってくれたらいいのだけど。
「その領地ってどこの貴族の領地を回ったの?」
「どこだったかな………………何個か回ったんだよね。こっちの世界に来て貴族の名前もよく分からなかったから、全部は……思い出せない。すっごく変わったお屋敷もあったんだよね。多分帰ったら日記書いてるし分かると思うから、次に来た時に教えるね!」
マリアはそう言ってテーブルの上のお菓子を美味しいとパクパク食べていく。
「あ、ありがとう」
本当に若者って感じのマリアの様子に、中身が30代の私は自分にもこんな時代があったなぁとなんだか懐かしくて、微笑ましく思ったのだった。