【書籍化&コミカライズ決定】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~
レジーナ嬢は王妃殿下のお茶会の時同様、絶えずニコニコしながら挨拶をしてくれた。
あの時も最初から最後までニコニコしていて、まったく意図が読めない人だったのよね。今日は手紙の送り主であるブランカ嬢が主催のはずなのに彼女が出て来ないところを見ると……本当に彼女達にいいように使われているんじゃないかしら。
ブランカ嬢も謝罪する気があるのか疑わしく思ってしまう。
「ではブランカ様もすでにお待ちですので、庭園の方にご案内致しますわ。こちらです」
「ありがとう」
レジーナ嬢の後ろについて歩いていくと、屋敷のいたるところに植物が植えられていて、趣のある素晴らしい屋敷だなと感じる。
「いろんな植物がありますのね……素晴らしいわ」
「……お褒めに預かり恐縮ですわ。屋敷の周りは亡き母の趣味でもあるのです」
「お母様の?」
「はい、母はあまり身分が高くないものですから……庭いじりしか取り柄がなくて」
「そ、そうなの、ですね……」
私は身分が低いという事に引いたわけではなかった。自分の母親の事を取り柄がなくてって言ってしまう事に驚いてしまって、ついどもってしまう。
「申し訳ございません。このようなお話、公爵家のご令嬢にするお話ではありませんでした……」
「いえ、いいのよ。身分は関係なく、お母様はとても素晴らしい庭をお造りになっていたと思いますわ」