【書籍化&コミカライズ決定】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~
アンティークの置物をプレゼントした時も本当に可愛かったな…………嬉しそうに蓋を開け閉めしている姿が微笑ましくて、思わず額にキスをしてしまう。
耳まで真っ赤にしている姿を見ると、まだ私にも少しは望みがあるのかと期待してしまったのだった。
しかし、建国祭が終わった翌日、突如聖女が降臨する。
これには王宮も大騒ぎで、父上も母上も驚きを隠せずにいた。
皆で協議の結果、聖女は王家で預かり、身の回りの世話も住居も王宮になる事に決定した。何より聖女がなかなか元気で、皆タジタジになったしまったのだ。
「あのーー、ここってどこなんですか?どうして私はここに連れて来られたのでしょうか。今すぐ元の世界に帰してくれません?!」
「…………あなたは異世界から我が国に召喚されたのです。ここで暮らし、この国の為に力の使い方を勉強して、貢献しなくてはならないのですよ」
大司教がそう告げると、怒り心頭で言い返していた。
「え、どうして私がこの国の為に貢献しなくてはならないの?私はこの国に何の思い入れもないし、そちらが勝手に召喚したのでしょう?!筋が通ってません!」
聖女の言い分はもっともだった。勝手に召喚し、勝手に国の為に貢献しろだなんて普通なら承諾出来ないだろう。
断られるという頭が教会の連中にはない。