【書籍化&コミカライズ決定】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~
大切な存在 ~王太子Side~
その時のオリビアの顔が笑顔なのに泣きそうに見えて、このまま行かせてはいけない、と警鐘が鳴っている気がした。
「リチャード!馬を貸してくれ!」
「はっ!」
私はリチャードの馬を借りて、急いでオリビアを追いかける事にしたのだ。
「ちょ、ちょっとヴィル!どこに行くの?!」
「オリビアのところだ。君はリチャードに送ってもらってくれ。リチャード!後の事は頼んだ」
「お任せ下さい!」
それだけ伝えて馬を走らせた。後ろから聖女が何か言っていた気がするが、構わずオリビアを追いかける――――ようやく姿が見えてきた……前方で彼女が馬を上手に乗りこなしている姿を見て、沢山練習したのだろうなと思うと、無性に愛おしさがこみ上げてくる。
聖女が言っていた言葉が浮かんでくる。
『その子、よくグレなかったわね』
『そんな小さい頃からやらなきゃいけない事ばっかりやらされてたら、息が詰まって生きるのしんどくなっちゃう』
そうだ、彼女は努力家なのだ。