【書籍化&コミカライズ決定】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~

 
 「良かった~~何の用もないのにヴィル様にくっついて死霊のように背後にいらっしゃるから、本当に怖くて…………ヴィル様がいつ追い出してくれるか、心待ちにしていたのですよ~」

 ブランカ嬢は嬉しそうにそう言って私の腕に絡みついてきた。さりげなく腕を解いて距離を取ったが…………オリビアがいないとこんな事をしてくるのか。王族にむやみに触れる事はオリビアなら絶対にしてこない。
 
 そう、オリビアはくっついてくると言っても、必ず適度な距離を保っていたのだ。淑女教育を受けていた彼女は、異性に絡みつくような行為は絶対にしてこなかった。私と二人きりの時はもちろん、あくまで近くにいるというのを徹底していたのだ。
 今思えば彼女に対する噂は全てバカげたものだと思える…………そんな事をするような人間ではない。

 
 「……今日は王宮の方でやる事がある。すまないが、先に失礼するぞ」

 
 生徒会を去ろうとすると、ブランカ嬢が私の手を両手で握り、引き止めた。

 
 「ヴィル様…………ブランカがお送りします。いつもはオリビア様がいらっしゃって出来なかったから…………ダメですか?」

 上目遣いでこちらを伺うように聞いてくる。女の武器をこれでもかと使おうというのだな。私からため息がもれると、トマスが察したのか「ブランカ……まだ仕事が残っていますよ」とブランカ嬢にそう言ってくれたのだが、全く引き下がりそうもないので、これ以上誤解されても面倒だからはっきり言う事にした。
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