【書籍化&コミカライズ決定】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~
自分のやるべき事を一生懸命にやり続ける。だからこそ危ういところもあるが、文句も言わずにやり続ける事は誰にでも出来る事ではない。
私は今までそんな彼女の努力に見向きもしてこなかった。自分もやっているのだから当たり前に出来る事だと思っていたのだ。
でもそれは……全然当たり前の事ではなくて、頑張り続けた努力がオリビアの愛で、それを踏みにじったのならその愛を失っても仕方ない。
それでも、私の前からいなくなったりはしないでほしい。
今までみたくバカな事を言って笑い合う関係でもいいから、距離を置かないでほしい。
やがて彼女の乗っている馬のスピードが落ちてきたので、ここが目的地だと思い、私もスピードを落とす。私をアングレア兄妹だと思っているのか、私の声を聞いて驚ているようだったが、オリビアから拒絶の言葉が出てくるのが怖くて顔を直視出来ないでいた。
お互い行き違いがあったが、話していくうちにバカらしくなった彼女が、苦笑いする。
「ふっ…………私たち、久しぶりに会って何の話をしているのかしら。バカみたいだからこの話は終わり」
この時のオリビアの表情がとてつもなく可愛くて、堪らなくなった私は、彼女を腕の中にすっぽりとおさめた。そして久しぶりに会えた事を実感し、さらに腕の力を強めて抱きしめると、自然と心の声が漏れてしまうのだった。
「はぁ…………会いたかった……」