【書籍化&コミカライズ決定】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~
「すまないが、今私が見送りをしてほしい人はオリビアだけなんだ。君はトマスの手伝いをしてくれ。…………では、また明日」
二人とも驚いて固まっていたが、まぁ仕方ないだろう。二人がオリビアの事を良く思っていないのは分かっているし、あのように態度が行き過ぎてしまうのもそれを許していた自分のせいなのだ…………そしてそんな自分のせいでオリビアが貶められている。
自業自得とは言え、あの場にいるのは耐え兼ねて出てきてしまった。
オリビアが私から離れていくのも仕方ないかも……しれないな…………しかし諦めるわけではない。今度は私が追いかける番だ。
こんな時でも王太子の仕事は山積みで、領地には今すぐ一緒に行く事は出来ない…………建国祭の準備もある。ならば、王太子付の護衛を付ける事にしよう。
「ゼフ、そこにいるな」
学園の柱の影からスッと音もなく出てきた人物は、王太子を陰から守る護衛である。隠密行動を得意とし、諜報活動も出来るのでゼフは打ってつけだ。