【書籍化&コミカライズ決定】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~
イザベルが駆け寄ってきて、私に顔を寄せると「このナイフを……」とこっそり耳打ちして、私の手に小さなナイフを渡してくれた。
これを渡してくれたという事はイザベルはもう大丈夫なのね。
隙を見て自分の縄も切らなければ…………
「レジーナ!大丈夫か?!」
小太りのボゾン子爵はトコトコとレジーナの元に駆け寄ってロウソクをキャンドルスタンドに戻したり、彼女を起き上がらせたりしている。
幸いこの部屋は床が土造りで、ロウソクが転がっても燃え広がりそうにない。
地下室だからかしら……床までしっかりと造っている感じではないので助かったわね。
私に体当たりをされたレジーナ嬢はゆらりと起き上がり、前髪の隙間からこちらを物凄い勢いで睨んでいた。
「私が憎いのは分かるけど、イザベルを痛めつけるのは違うわ」
「ふん…………あなたに何が分かると言うのよ。何も分かっていないくせに…………」
レジーナが憎々しげに言う横で、ボゾン子爵もそれに乗っかる形で話し始めた。
「そうだ、お前は何も分かっていない。貴様達親子のせいで我々がどんな目に遭ったか……」
「親子?お父様が何か?」