【書籍化&コミカライズ決定】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~

 「……やはり何も知らないではないか!お前の父親が昔領地で色々やったおかげで、我々と取引をしていた商人がほとんど公爵領に行ってしまったというのに…………そちらの方が税も低く済むし市場も賑わっているからと、皆我が領地には寄り付かなくなっていった。」

 「それならここの領地でも改革を行えばよかったじゃない!」

 「それをやろうにも我が領地から海の生き物までいなくなってしまっては商売のしようがない…………私の領地には資源として取引が出来るのは海産物くらいだった。お前たちの領地のように森もあり、川も流れ、湯も湧き出ているようなあちこちに資源がある領地とは違うのだ!」

 「………………海の生き物って……生態系が変わってしまったという事?」

 「……そうだ。海沿いに領地がある諸侯は資源の取り合いにならぬように、乱獲防止協定を結んでいる……資源は獲りすぎては生態系に影響が出てしまうからだ。それなのにお前たちの領地では……我々に分からないように密漁を行っていたのだから、陛下の腹心が聞いて呆れる!」


 「…………何を……言っているの?お父様がそんな事するはずがないわ!私は領地にも行ったし、お金の流れも全部見せてもらったもの!それに生態系が変わっているならそんな事、とっくに陛下だって…………」


 「うるさい!お前達の言う事を私が簡単に信用すると思うか?!」


 何かがおかしいわ。こんな事が起こっているならお父様や陛下が知らないわけがない。でも長年による恨みによって、もう子爵の耳には何も入っていかないのね……


 「ふん……お前達親子がどう言おうが勝手だが、これは紛れもない事実だ。そして変化してしまったものは簡単には戻らない。私は、徐々に資源が枯渇していく領地で生き残る為に何が出来るかを必死に考えた…………そして妻が趣味としていた植物に目を付けたのだ。妻は本当に知識が豊富で様々な薬草を育てたり、エキスを抽出して香油を作ったりしていたのでな。それでも足りない部分を人身売買で補っていたのに…………」
 

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