【書籍化&コミカライズ決定】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~
「オリビア様、ここから出ましょう!」
イザベルがそう言ってきたので頷くと、そこかしこで頽れているレジーナや子爵、大司教へと声をかけたのだけど、皆魂を抜かれたように動いてくれない。
「急いでここから出るわよ!早く!!」
「………………………………」
「オリビア様!こんな人達は置いていきましょう!逃げ遅れてしまいます!!」
イザベルがそう告げてきた…………分かってる、でもこのままこの人達が死んで、罪も償わずに終わるなんて……!私は悔しさで唇を噛んだ。
煙が勢いを増してくる――――――
いよいよ出なければと思ったところにバタバタと階段から足音が聞こえ、突然ヴィルや王宮騎士の人達らが入ってきたのだった。
「オリビア!!」
「ヴィル?!」
真っ先に抱きしめられ、腕の中におさめられてしまう。そして彼の腕が微かに震えているのが伝わってきて「良かった……」と絞り出すような声が聞こえた。