【書籍化&コミカライズ決定】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~
お父様はそう言いながらも涙が止まらないらしく、鼻をすすっているのでマリアがハンカチを貸してあげていた。
イザベルはリチャードにぎゅうぎゅう抱きしめられていて、子供扱いが嫌なのか本気で嫌がっているのが見えた――――そのそばにはニコライ様の姿も見える。
地下室から発生した炎はやがて一階へと燃え移り、庭の植物や子爵邸の一階部分をどんどん燃やしていく――――少し離れた場所からその姿を見ていると、ヴィルが隣に来て私の肩を抱いてくれたので、その温もりを感じながら焼けていく屋敷を眺め――――ようやく終わったんだな実感した。
私はアルコールを使って引火させたので、マリアに頼んで霧状の雨を降らせてもらうようにお願いし、かなり時間がかかったけど見事に鎮火してくれたのだった。
やっぱり聖女の力って凄いわね。
初めて見る人達は奇跡の力を目の当たりにして、ただただ見惚れていた。
でもヴィルは自分が世話係を務めたので「このくらいは出来るだろう」と何故か上から目線だったのだけど。
ブランカ嬢も救出されていて、奇跡的に誰も死者は出なかったようでホッと胸をなでおろす。
もっとも地下室にいたボゾン親子と大司教の3人は茫然自失としていたのだけど……彼らと拘束された教会の者達は、鎮火している間に王宮騎士の方々に護送用の馬車に乗せられて、王宮へと連行されて行ったのだった。