【書籍化&コミカライズ決定】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~
クラレンス公爵Side
木々の葉が赤く色づき始める頃にオリビアは生まれた。私、フェルナンド・クラレンスの一人娘として生を受け、公爵令嬢として申し分ない容姿と教養を持ち合わせた、素晴らしい女性に成長した。
オリビアの母、私の妻であるジョセフィーヌは、オリビアを生んだ後の予後が良くなく、体力がなかなか回復しない中で感染症にかかり、オリビアが1歳になる前にこの世を去った。
最愛の妻が旅立って打ちのめされている私にさらに追い打ちをかけるかのようにオリビアが、妻と同じ感染症にかかってしまう。この時は正気を保っていられないくらい取り乱していた……普段は祈らない神に初めて祈った時だった。
オリビアを助けてくれれば、これからの人生の全てをオリビアに奉げ、私の全てでもって彼女を守る事を誓う、というものだ。愛する者をこれ以上失いたくない気持ちの一心だったのだ。
幸いオリビアは一時は危なかったが峠を越え、無事に回復。私は生きとし生けるもの全てに感謝し、オリビアに最高の人生を送らせる為に動き出した。
まずは幼い時からの淑女教育、そしてたっぷり愛情を注ぎ妻の分も甘やかした。7歳になると陛下と以前口約束していた子供同士の結婚話が持ち上がり、8歳になると王太子殿下の婚約者に内定する。
二人は顔合わせの時に既にいい雰囲気で(それは父親としてちょっと気に入らないところではあるが)相性も良さそうだった。きっと素晴らしい夫婦になるという予感もあり、最高の王太子妃教育が受けられるように手を尽くした。それが娘の幸せに繋がると信じて――――