【書籍化&コミカライズ決定】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~

 握りしめていた私の手を無言で引き寄せたかと思うと、顔を近づけてきて「まだ全然オリビアが足りない」と言って口づけてきたのだった。

 二度目のキスは少し強引で、触れるだけのものではなく、とても情熱的で奪うようなキス――――そして確かめるように啄ばむと、私の首筋にもキスをしてきた。


 これ以上許したら止まれなくなる。咄嗟に両手でヴィルの両頬をパチンッと挟んだ。


 「ダ、ダメよ、これ以上は!結婚してからでしょっ」


 私が顔を真っ赤にして何とか伝えたのに、意地悪な笑みを浮かべてニヤニヤし始めたのだ。


 「そうか、結婚してくれるのか。じゃあ早く結婚するから、それまで待つとしよう」

 「あ……………………」


 しまった、自分から結婚すると言ったようなものだ…………穴があったら入りたい。そんな私を目の前の意地悪な王太子殿下が嬉しそうな笑顔で見つめていた。

 そして私の片手にキスをしながら誓いの言葉が紡がれていく――――


 「……オリビア、病める時も健やかなる時も、やがて年老いて私たちが土に還る時が来ても、ずっと君だけを愛する事を誓うよ。私と結婚してほしい」


 なんて素敵なプロポーズの言葉なんだろう。

 前の夫とは年を重ねる度に愛が冷めていった。そんな結婚生活なんてうんざりだし、転生して二度目の結婚なんて考えるだけでゾッとしていたのに。

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