【書籍化&コミカライズ決定】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~
ついつい本気で追いかけ回していると、一人の女の子に抱き着いて捕まえ、一緒にゴロンと転がるような形になった。
「捕まえた!」
転がったついでにふと空を見上げると、ヴィルの顔がぬっと出てきたのだった。私はびっくりして女の子を捕まえていた腕を離してしまい、その子はそのまま走り去っていってしまった。
「ヴィ、ヴィル…………こんにちは」
「…………随分楽しそうだね」
意地悪な顔をして笑いながら、草まみれの私を起き上がらせてくれたのだけど、肩を揺らしながら笑っていて、私の恰好を見て笑いをこらえられない様子だった。
「……そんなに笑わなくてもいいじゃない…………」
「ご、ごめん…………凄い事になっているな……ははっ」
「……………………」
すっかりふくれっ面の私の頭の草を払い退けて、額にキスをすると、頭をなでなでし始めたので違う意味で顔に熱が集まってきた。
「そういえば、もうすぐヴィルも学園を卒業なのよね?」
「ああ、最近は仕事が忙しくてあまり通えていないけど、2か月後には卒業を迎えてプロムに出席しなければならないな」
「学園に通ってる人はそういうのがあるのね。そういえばリチャードも先日出席するって言ってたわ」
「そうか…………オリビアは私と出席してくれないのか?」
「え?」