【書籍化&コミカライズ決定】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~
今日はヴィルが学園を卒業する日だ。昼間に卒業式典が行われ、夜には卒業記念パーティーが開かれるので、私はそのパーティーにパートナーとして出席する為に朝からせっせと用意を頑張っていた。
私も好きな人の為にオシャレするなんて、すっかり女子している感じね。
でもそれも悪くないなんて思っている自分がいる……生きているからこそって事だし、幸せな事だから。
「お嬢様、殿下が到着しました!」
「すぐ行くわっ」
私はすっかり支度を終わらせていたので、彼の待つエントランスに向かった。階下では正装をしたヴィルが、そわそわしながら待っている――――
「お待たせ」
私の姿を見つけると目を細めて駆け寄り、スマートに手を差し出してくれる……最初は生まれながらの王子様としての所作に寒気を覚えていたくらいなのに、今は素敵って思えるわ。
そんな自分の変化が嬉しかった。
「…………今日も一段と綺麗だよ」
「ありがとう、あなたも素晴らしいわ」
「では行こうか」